菜の花を思うとき夜の安堵
明日もまた未知始まるか霧笛鳴る
神不在なれど両掌を合わせたし
雑犬でよしチワワにはなりたくない
穂高まだ思うこの風の冷たさに
規則正しい時計の音よ今深夜
咳き込めば冬のいで湯を思うのみ
失せ物をまた探させる隠し神
白菜は煮えたぞ雪よもっと降れ
クリックをしても空白だな未来
原稿を飾る言葉に自己嫌悪
友は皆疎遠になった風の木戸
あなた唄いますか仮面をはずせれば
目覚めれば木々の緑の懐かしさ
軌道音ここは他郷の夜のホテル
援軍が来ぬ止まり木のやるせなさ
雪は静か君の笑顔を網膜に
さらさらとさらさらと小雪聴く独居
女生徒らのさえずりが好き冬の旅
空撮の穂高はすでに遠い距離
海暮れる丘には花が一杯に
生々流転ただ砂時計さらさらと
明日はどんな流れになるか野天風呂
手を振って分かれ再び会えぬ人
チューリップ咲き華やかな雨の庭
昼時のうどんに行列する讃岐
薬膳茶の豆を雉鳩がつつき
曇天が続き怠惰な老いの朝
風神に散り時知るか山桜
野も里も若葉まだまだ老いられぬ
点景に農夫見ている独り旅
湖面光るいま観音に憧れて
蝶々と戯れながら夏野菜
暁の鐘聞く微睡のなかに
ビバー!乾杯僕の世界は侵されぬ
肩組んで叫んだ時代嘘ですか
楽しみは朝のビールと豆腐など
鹿島槍追想膝がまた痛み
読書に飽きテレビに飽いて雨しとど
茄子胡瓜採れて焼酎でも飲むか
故郷が光り懐かしい原風景
窓際にピエロ飾って飲むビール
蚊が飛んでいる追いかける不眠症
風に揺れてる野の花も私も
奈落へ傾斜してゆく哀しみの霖雨
砕け散るか傍観するか独りの手酌
悲哀の球転がして果ては南無観世音
春夏秋冬こころ透明にして篭居